勇気と孤独の狭間

エッセイ

周囲と足並みが揃わないことに、焦燥感を募らせる夜がある。

結婚、出産を経て家庭を築く友人が存在する一方で、仕事に精を出し結果を残す友人もいる。
それぞれが隣りの芝生をたまに青く見つめながら、気付けば目の前の幸せを謳歌している。
日々の中に愛せる一瞬がある人は、幸せの意味を知る賢者なのだろうと思う。

夜が濃く重く感じる瞬間があるとすれば、それは足りない自分に迷うときなのかもしれない。

自身のルートは見えているにも関わらず、結果が出せていないことであったり
自身の役割を見出せないまま漂っていることであったりとか。

ただ闇雲に彷徨う自分の存在を憂う瞬間が、きっと誰しにもあって
視線の先に飾り付けられた「幸せ」の中に、燻る不安や焦りをスプーンで溶かしながらやりすごす。

“今を生きる”こと、”日々をやり過ごす”こと、
その境目は案外きわどくて、似たような成分で構成されているような気がする。
どちらも走り続けていることに変わりはないのに。
その質を自問自答する私の隙間に不安や恐怖が隠れていて、どこからか顔を出す私が追いかけてくるのかもしれない。

どんなに暗い道でも、逃げて、逃げて、目を凝らして歩みを進めていれば、そのうち出口が見つかるだろう。

迷い苦しむ夜を振り切って、朝日を浴びる瞬間。一日のはじまり。
陽に照らされた後ろにできる影は、ひたむきに生き抜く一人一人の戦いの血の跡なのかもしれない。

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